【為替初心者 #6】将来、円高になるかも?
第5回までで、長期的に見れば日本は円安傾向、というお話をしてきました。
これはあくまでも予想です。
外れる可能性も十分あります。
その原因についていくつかピックアップしたいと思います。
(つまり、将来の円高要因についてお話します。)
インバウンドによる円高
日本は独特の文化があります。
また、円安のため外国人は日本への旅行を割安に感じます。
そのため、海外から日本への観光客が増えています。(下図参照)
コロナの2020-2022年は激減していますが右肩上がりのグラフです。
2023年はグラフに書かれていませんが、10-12月は2019年よりも増えています。
2024年はさらに増える見込みです。
日本に観光客が増えると、外国人がドルを円に変換するので円高になります。
もっと観光客が増えて、円高になると良いですね。
と言いたいところですが、そこまで大きな期待はできなさそうです。
観光業はホテルや飲食などの人が働く事により成り立っています。
それらの人数は限られているので、観光業が数倍に増える未来は厳しそうです。
(貿易であれば工場、サービスであればITが働くので、数倍に増える事が可能です。)
観光業の人数不足を補う方法の一つが、高単価です。
海外の金持ちに大量のお金を使わせるのです。
例えば、ニセコでは海外の超富裕層が集まっています。
地下上昇率は6年連続日本一だそうです。
参考)世界の金持ちが選ぶニセコ(https://bizgate.nikkei.com/article/DGXZZO6859565028012021000000)
参考)3800円ラーメンも…ニセコの海外客バブル https://news.yahoo.co.jp/articles/5831cf642c8227657e8678a6b8c2b4b59034b240
ラーメンが3800円もするようです。
ニセコのような超富裕層が集まるエリアが増えて円高になると良いですね。
外国の超大企業が日本に進出(TSMC)
TSMCという企業をご存じでしょうか?
下図は世界の時価総額ランキングです。
TSMCは台湾の企業です。
世界で13番目に大きな会社であり、アジアで一番大きな会社です。
(日本一のトヨタは世界52番です。)
TSMCは世界中の半導体を作っています。
AppleもトヨタもTSMCに依存しています。
TSMCは熊本に巨大な工場を建設しました。
日本は円安なので、割安な工場を作れる、というのが理由でしょう。
昔は日本が海外に工場を作っていました。
しかし、最近は立場が変わり、工場を作られる立場になりましたね。
日本に工場ができれば、工場で作ったものを海外に輸出するため円高になります。
外国の超大企業が日本に進出(NVIDIA)
NVIDIA(エヌビディア)という企業をご存じでしょうか?
PCに搭載されるGPUで昔から有名な企業です。
近年はGPUをAIに活用する動きが進んでおり、売り上げが爆増しています。
時価総額ランキングでも、8位に躍り出ています。
(NVIDIAは伸びが著しく、2024/2には6位にまで順位を上げています。)
NVIDIAは日本に開発拠点を置くようです。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/OGJVF624B5IGVBNWQFCCHL7GEM-2023-12-05/
日本は円安なので、割安な開発拠点を作れる、というのが理由でしょう。
日本に開発拠点ができれば円高になります。
日本企業が工場を海外から日本に移転
かつて、日本企業は割安な海外に工場を作ってきました。
最近は円安により、海外よりも日本に工場を作ったほうがメリットが増えてきました。
海外の工場を日本に回帰させる動きが強まりつつあります。
下図(経産省)にあるように円安を原因とした国内回帰が進んでいます。
国内に工場が増えれば円高になります。
まとめ
円安が進めば進むほど、割安な日本に回帰する動き(観光、工場など)が増えます。
そのため、一気に円安が進む可能性は低そうで、少しずつ円安になりそうです。
注意してもらいたいのは、これらの動きは円安を契機としています。
つまり、円安を緩和する動きにはなりますが、1ドル100円といった円高の原因にはならなさそう、という事です。